暗号資産のレンディングとは？ステーキングとの違いやレンディングのやり方などを解説

August 31, 2023

暗号資産のレンディングは、中長期的な視点で暗号資産を活用し、資産形成を行う手段の一つとして注目を集めています。
本記事では、レンディングのメリットやリスク、レンディングの始め方、貸借料率の相場、ステーキングとの違いなど暗号資産レンディングに関する各種情報を解説します。
これからレンディングを始めようと考えている方は、ぜひ本記事でレンディングの理解を深めて頂ければと思います。

暗号資産レンディングとは

暗号資産におけるレンディングとは、暗号資産取引所やレンディングサービスに一定期間暗号資産を貸出すことで、貸出し期間に応じた貸借料を受けとれる仕組みです。

一般的に、暗号資産で収益を得る方法としては売買による収益を狙った売買取引があります。対してレンディングは、暗号資産を貸出すことによって貸借料が得られるサービスとなっています。

暗号資産ステーキングとレンディングの違い

暗号資産のステーキングとレンディングはどちらも暗号資産を売却することなく報酬を得る方法です。しかし、この両者は特性が異なります。
ステーキングは、暗号資産をネットワークへ預けることでブロックチェーンネットワークに貢献して、報酬を得る方法です。ステーキングの報酬は主に暗号資産や利用するサービスによって異なります。

対してレンディングは、暗号資産を暗号資産取引所やレンディングサービスなどの第三者に貸出すことで貸借料を得る方法です。レンディングで貸出した暗号資産をどのように活用するかは利用するサービスによって異なります。また、貸借料率についても利用するサービスによって異なります。

暗号資産レンディングサービスの種類

暗号資産レンディングサービスには、主に「貸出し型」と「借入れ型」2種類があります。どちらの立場で利用したいか事前に検討をする必要があります。

貸出し型レンディングサービスとは

貸出し型レンディングサービスは、利用者が暗号資産を貸出すことで貸借料を得ることができるサービスです。国内においては貸出し型のレンディングサービスが主流となっています。

借入れ型レンディングサービスとは

借入れ型レンディングサービスは、利用者がサービスを通じて暗号資産を借入れることができます。借入型の場合は相応の貸借料を支払う必要があります。

暗号資産レンディングのメリット

レンディングのメリット - 暗号資産を貸し出すことで収益が得られる

前述の通り、暗号資産におけるレンディングは暗号資産を貸し出すことで収益が得られるメリットがあります。一般的には短期的な収益につながる暗号資産の売買よりもより中長期的な資産形成に向いています。売買以外の収益機会を希望する方にマッチしている手法であるといえます。

レンディングのメリット - 手間がかからない

暗号資産のレンディングサービスは取引等の手間がかからないというメリットもあります。貸し手は暗号資産を対象サービスに貸出すだけで貸借料を得ることができます。トレードのように頻繁に取引操作を行う必要もなければ、ソロステーキングやマイニングのように特に新しくハードウェアやソフトウェアなどの設備を準備する必要もありません。

暗号資産レンディングのリスクと注意点

暗号資産レンディングにはメリットもある一方で、注意点もあります。

レンディングの注意点 - 貸出先の倒産リスク

1つ目は信頼あるサービス運営者を選択しなければ、貸倒れリスクがある点です。例えば、運営会社がハッキングされたり、経営に問題があれば倒産する可能性があります。このような契約事故が生じた場合、最悪のケースとして顧客の資産が返還されない可能性もあります。
このため、レンディングサービスの検討に際しては、利用サービスの信頼性についての見極めが重要になります。具体的には「運営会社の財務上の健全性及び会社としての信頼性が高いか」「コーポレートガバナンスは適正か」「貸出した資産をどのように活用しているか開示しているか」「契約内容に気になる点がないか」など十分に調査をしてから利用することをおすすめします。

レンディングの注意点 - 価格下落リスク

2つ目は暗号資産の価格下落リスクです。暗号資産の価格は一般的に変動が激しいため、貸出した後にも価格が大幅下落する可能性があります。レンディングによって得た貸借料よりも貸出した暗号資産の価値が下落してしまうと、円ベースでは元本割れになる可能性があります。もちろん、下落後に再度価格が上昇することによって収益が出る場合もあります。
価格下落リスクについてはレンディングに限らず暗号資産保有時においては常にさらされるものになるため、サービス利用に際しては一定程度リスクを考慮して利用する必要があります。

暗号資産レンディングの利回り

暗号資産レンディングの貸借料率は、利用するサービスや暗号資産の種類によって異なります。実際にレンディング貸借料率の相場はどれくらいになるのでしょうか。

各サービスによって料率は大きく異なりますが、国内においてはおおよそ年利1%から利用が可能となります。貸出された暗号資産をどのように活用するかはサービスごとに異なりますが、一般的には高リスク/高リターンとなる傾向があります。

サービス種別

料率/年

国内暗号資産取引所

約1%〜8%

国内レンディングサービス

約1%〜10%

レンディングできる暗号資産の種類

レンディングできる主な暗号資産の種類について解説をします。レンディングでは、利用者が貸出した暗号資産をサービス運営者側でどのように活用しているかはサービスごとに方針が決められています。このため、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関わらずサービス側の方針で対象暗号資産を決めています。どのような通貨でもレンディング利用できる余地があるとはいえ、基本的には需給の関係によって人気の暗号資産がサービス対象となるケースがほとんどです。

主に国内サービスでレンディング可能な主要通貨は以下の通りです。

Bitcoin (BTC)
Ethereum (ETH)
Tether (USDT)
Binance Coin (BNB)
USD Coin (USDC)
MakerDAO（DAI）

レンディングはあくまで利用者とサービス提供者との間の消費貸借契約のため、対象レンディングサービスが対応していれば選べる暗号資産の種類も豊富となります。

暗号資産レンディングの始め方

続いては、レンディングの始め方について解説をします。暗号資産のレンディングでは主に以下のステップが主流です。レンディングに際しては暗号資産の保有が前提となります。

レンディングサービスを選ぶ
貸出し期間や条件を検討する
対象の暗号資産を貸し出す
貸借料を得る

最初にレンディングサービスを選定します。レンディングサービスは暗号資産取引所の付帯サービスや専門業者によるレンディングサービスなど様々なバリエーションがあります。サービスが決まったら、対象通貨や貸出期間などの条件を設定します。貸出期間は、1日、1週間、1ヶ月、1年など、レンディングサービスによって異なります。また、貸出期間によって貸借料率が異なる場合があるため、ご自身の方針に合った条件を選定しましょう。

各種条件が決まったら対象サービスに暗号資産を貸出します。指定されたアドレスに対象の暗号資産を送金するパターンもあれば、ボタンタップやクリックなどの操作ですぐに利用できるサービスもあります。

貸出しが完了すると貸借料が発生します。発生した貸借料の確認方法としては、マイページなどで確認できるケースや定期的にメールなどで報告があるケースなど、サービスごとに決められています。所定の手続きをすることで、貸借料や元本を引き出すことができます。

主なレンディングサービス

レンディングサービスには様々な種類があります。それぞれのサービスにはメリットやデメリットが存在しますので、どのレンディングサービスが合っているのか、検討する必要があります。主なレンディングサービスのカテゴリを紹介します。

1)暗号資産取引所のレンディングサービス

暗号資産取引所の中にはレンディング機能を提供しているものもあります。レンディングを行いたい暗号資産を保有するだけで利用できるパターンが多く、簡単な操作で手軽にレンディングができます。

2）DeFiのレンディングサービス

レンディングサービスはDeFi（Decentralized Finance）でも可能な場合があります。DeFiとは、中央集権的な管理者を必要としない金融サービスです。中央集権的な取引所と比較すると手数料が安い傾向にあります。一方で、DeFiを利用するためには一定のリテラシーが必要である点や、トラブル時の対応、サービス停止などのリスクがあります。

3）レンディング専門サービス

レンディングサービスを専門に提供している会社も存在します。レンディング専用サービスのメリットは、レンディングに特化したきめ細やかなサービスを提供している点です。また、暗号資産取引所の利用と比べると専門知識がそこまで必要とならないケースも多いため、リテラシーに自信がない方やビギナー層でも利用しやすい点がメリットといえそうです。

レンディングには常に貸し倒れリスクがつきまといますので、小規模なサービスや資本・財務状況に不安があるサービスは避けた方がよいでしょう。レンディング専門サービスを選定する際は、株主構成、資本、財務状況など企業の信頼性を重要視して選ぶ必要があります。

暗号資産レンディングでよくある質問

最後に暗号資産レンディングについてよくある質問を整理しました。

質問1.　レンディングはいくらから始められますか？

暗号資産レンディングの最小利用額は、提供会社によって異なります。少額からでも始められることはレンディングの魅力の一つです。

質問2.　レンディングを途中で解約することはできますか？

レンディングを行っているサービスによって異なります。そのため事前に契約内容を確認した上で利用されることをおすすめします。

まとめ

暗号資産レンディングとは、暗号資産を保有しているユーザーが、その暗号資産を暗号資産取引所やレンディングサービス業者に貸出すことで貸借料を得ることができるサービスです。

「暗号資産を貸し出すことで収益が得られる」「運用の手間がほとんどかからない」などが暗号資産レンディングのメリットである一方で、レンディングには貸倒れリスクも存在します。暗号資産レンディングを行う際には、信用できるサービス業者を選定してリスクを理解した上で行うようにしましょう。