日本円で受け取るレンディング報酬の魅力!徹底解説!

September 27, 2024

暗号資産市場の発展に伴い、投資家たちは単なる暗号資産の売買だけでなく、保有する資産を活用して収益を得ています。その中で特に注目を集めているのが「ステーキング」です。本記事では、暗号資産のステーキングについて詳しく解説し、さらにステーキングを活用した暗号資産レンディングのメリットについても示していきます。具体的には、ETH(イーサリアム)を例に取り、暗号資産レンディング報酬(貸借料)をETHで受け取る場合と、日本円で受け取る場合の比較を行いながら、シミュレーションも交えてその魅力と注意点を明らかにしていきます。

暗号資産のステーキングとは

ステーキングとは、簡単に言えば、自身の保有する暗号資産をネットワークの運営に貢献させることで報酬を得る仕組みです。保有する暗号資産を一定量、一定期間ロックすることにより報酬を得ることから、従来の定期預金に似た性質の行為となっています。

ステーキングの仕組み

ステーキングの仕組みは、主に下記の3つの行為を行うことで実施されます。

1. 暗号資産のロック:投資家は自身の暗号資産を特定のウォレットやプラットフォームにロック(預入)します。

2. ネットワーク貢献:ロックされた暗号資産は、ブロックチェーンネットワークの検証や維持に活用されます。これは「Proof of Stake(PoS)」と呼ばれる合意形成メカニズムの一部です。

3. 報酬の獲得:ネットワークへの貢献の見返りとして、投資家は定期的に報酬を受け取ります。この報酬は通常、ステーキングした暗号資産と同じ種類の通貨で支払われます。

ステーキングのメリット・デメリット

ステーキングのメリット・デメリットは下記のとおりです。

ステーキングのメリット

1. 暗号資産を所有したまま報酬を得ることができる:ステーキングでロックしていたとしても、暗号資産の所有権は失わないこととなります。

2. 保有暗号資産をプロトコルに預入れるだけで定期的な報酬を享受できる:一般的に、ステーキングの年間報酬率は2%から10%程度と、国内の低金利下においては魅力的な利回りを享受できます。

ステーキングのデメリット

1. ロック期間中は売却ができない:ステーキングでロック中は暗号資産を売却することができず、ロック期間中の暗号資産の時価の影響を受けることとなります。

暗号資産レンディングの報酬を日本円で受け取るメリット

上記の通り、ステーキングはブロックチェーンのネットワークの維持・運営に貢献することで報酬を受け取る仕組みである一方、レンディングは第三者に暗号資産を貸し出すことでレンディング報酬を受け取る仕組みです。Fintertechが提供するデジタルアセットステーク(消費貸借)は、ステーキングを活用したレンディングサービスです。

通常、ステーキング報酬はステーキングした暗号資産と同じ通貨ですが、デジタルアセットステーク(消費貸借)ではレンディング報酬を日本円で受け取ることも可能です。報酬を日本円で受け取ることで、以下のメリットがあります。

1. 税金計算がシンプル

暗号資産で報酬を受け取る場合、日本の税制上、受取時点での時価を確認し、その時価相当額を利益として認識する必要があります。これは、特に頻繁に報酬を受け取る場合、計算が煩雑な作業となりやすいです。

一方、報酬を日本円で受け取れば、その金額をそのまま収入として計上できるため、税金計算が大幅に簡素化されます。確定申告の際の手間が大きく削減されるだけでなく、申告ミスのリスクも低減できます。

2. 暗号資産の売却時の税金を避けることができる

上記の通り、報酬として受け取った暗号資産は、受け取った時点の時価評価額が、所得相当額とみなされ課税対象となります。
また、報酬として受け取った暗号資産を換金する場合、売却益に対する税金が生じることも想定されます。
売却益を計算するための暗号資産の取得価額は、報酬として受け取った暗号資産を含め、保有する暗号資産すべての取得価額に基づき移動平均法あるいは総平均法で計算することとなります。
従って、時価での売却を仮定し、時価よりも相当に低い価格で取得した暗号資産を多く持っているようなケースでは、報酬として受け取った暗号資産を売却しただけでも、驚くほどの税金がかかることも想定されます。
以下、シミュレーションにて詳細な事例をもとに説明します。

3. 手元に現金が残る

日本円の報酬を受け取ることで、即座に使用可能な現金として報酬を得られます。税金の計算もわかりやすくなるため、税金支払い後の日本円を自由に運用することができます。日常の生活費や追加の暗号資産購入など、日本円の報酬を受け取ることで運用もしやすくなります。

税金計算のシミュレーション

報酬をETHで受け取る場合と日本円で受け取る場合の税金計算の違いを、具体的な数字を使ってシミュレーションしてみましょう。

想定条件

- 年収なしで所得控除は基礎控除のみ
- 保有ETH: 400ETH
- 保有簿価: 1万円/ETH
- 現在の時価: 50万円/ETH
- ステーキング報酬もしくはレンディング報酬率:2.5%(年率)

1. ETHで受け取る場合

まず、ステーキングにより、もしくは暗号資産レンディングの消費貸借契約に基づき、年間2.5%のETHを受け取ることができるとします。現在のETHの時価が50万円/枚であり、ETH400枚をステーキングとしてロックしているので、
報酬:400枚×2.5%×50万円=500万円(10ETH)
が計上されます。

続いて、上記の500万円の税金を支払うためにも、保有しているETHの一部を利確(日本円に換金)する必要があるため、受け取った報酬相当である10ETHを売却します。その際、以下の利益が計上されます。

10ETH売却益=500万円(売却価額)-10ETH×2.1951万円(※)=約478万円

※:ETHの購入価額合計=400ETH×1万円+10ETH×50万円=900万円
ETHの購入枚数合計=400ETH+10ETH=410ETH
ETHの平均取得価額=900万円÷410ETH=2.195121万円・・・

結果として、ETH受け取り時に500万円、受け取ったETHの売却時に478万円が計上されるため、合計で978万円が雑所得として計算されます。

所得控除が基礎控除(48万円)のみとした場合の所得税と住民税は下記のように計算されます。

所得税:(978万円-48万円)×33%-1,536,000円=1,533,000円
住民税:(978万円-43万円)×10%=935,000円
合計:2,468,000円

日本円として売却した金額は500万円であり、上記の税金を除くと、日本円としては2,532,000円が税金支払い後として残る金額となります。

2.日本円で受け取る場合

続いて、日本円で受け取る場合の計算をシミュレーションします。

まず、消費貸借契約に基づき、年間2.5%を日本円で受け取ることができます。現在のETHの時価が50万円/枚であり、ETH400枚を貸し出しているので、
報酬:400枚×2.5%×50万円=500万円
を日本円として受け取ります。この際、受け取った日本円500万円のみが報酬として計算されます。

日本円で受け取っているので、暗号資産の売買は必要ありません。

所得控除が基礎控除(48万円)のみとした場合の所得税と住民税は下記のように計算されます。

所得税:(500万円-48万円)×20%-427,500円=476,500円
住民税:(500万円-43万円)×10%=457,000円
合計:933,500円

日本円500万円を受け取っているので、上記の税金を払うことで、4,066,500円が手元に残ることとなります。

3.計算結果まとめ

結果として、以下のようにまとめることができます。

ETH受け取り

日本円受け取り

報酬金額

500万円(10ETH)

500万円(日本円)

暗号資産の売却利益

約478万円

不要

利益合計

978万円

500万円

税金

246.8万円

93.3万円

手元に残る資金

253.2万円

406.6万円

ETH保有枚数

400枚

400枚

ETH取得単価

2.195121万円/ETH

1万円
/ETH

このシミュレーションから、日本円で受け取る場合、日本円での収入となるため、保有ETHの簿価に影響を与えず、税金計算が容易になることがわかります。さらに、保有している暗号資産を売却する必要がないことから、総平均法で計算される売却益が計上されることがなく、税金を押さえることができます。結果として、税金支払い後の手元に残る資金は多く残ることとなります。

4.シミュレーション別計算結果

また、年収があるケース及びETHの保有枚数別のシミュレーションは下記となります。

①保有ETHが100枚の場合(時価1ETH=50万円、購入額1ETH=1万円)

保有資産

100ETH(時価5,000万円、購入額100万円)

年収

500万円

0

方式

ETH受け取り

円受け取り

ETH受け取り

円受け取り

報酬額

125万円(2.5ETH)

125万円(2.5ETH)

125万円(2.5ETH)

125万円(2.5ETH)

暗号資産売却益

119万円

0万円

119万円

0万円

利益合計

244万円

125万円

244万円

125万円

税金見込額

68万円

32万円

39万円

18万円

手元資金

56万円

92万円

85万円

106万円

②保有ETHが200枚の場合(時価1ETH=50万円、購入額1ETH=1万円)

保有資産

200ETH(時価10,000万円、購入額200万円)

年収

500万円

0

方式

ETH受け取り

円受け取り

ETH受け取り

円受け取り

報酬額

250万円(5ETH)

250万円(5ETH)

250万円(5ETH)

250万円(5ETH)

暗号資産売却益

239万円

0万円

239万円

0万円

利益合計

489万円

250万円

489万円

250万円

税金見込額

144万円

70万円

103万円

40万円

手元資金

105万円

179万円

146万円

209万円

※給料の計算は一部概算で計算しております。
※消費税納税事業者の場合はレンディング報酬に消費税が別途課税されます。

どのような人に適しているか

日本円で受け取るレンディング報酬は、特に以下のような方々に適しています

1. 税金計算を簡素化したい投資家

- 暗号資産報酬の取得に伴う保有暗号資産の簿価変動を避けたい方
- 確定申告時の複雑な税金計算の手間を抑えたい方

2. ETHを長期保有している投資家

- 市場の短期的な変動に左右されず、ETHの長期的な成長を期待している投資家
- 売却せずにETHを保持したまま、安定した収入を得たい方

3. 定期的な現金収入を求める投資家

- 受け取ったレンディング報酬を生活費や他の投資に回したい方
- 暗号資産投資とは別に、安定した副収入を得たい方

4. 暗号資産市場の変動リスクを抑えたい投資家

- ETHの価格変動に左右されない、安定した収入を求める方
- リスク分散の一環として、日本円の収入を確保したい方

5. 暗号資産投資を始めたばかりの新規投資家

- 複雑な税金計算や市場変動に悩まされずに、ステーキングのメリットを享受したい方

法人の場合の注意点

法人がレンディング報酬を日本円で受け取る場合、個人投資家ほどのメリットを享受しづらい面があります。これには以下のような理由があります。

時価評価の必要性

法人会計では、保有する暗号資産を決算時に時価評価し、含み損益は法人税の対象として計上する必要があります(いわゆる時価評価課税です)。貸し出しているトークン(コイン)についても、時価評価が必要となっています。

つまり、法人で暗号資産を保有している場合は、売却しようがしまいが、実質的には売却したものとして課税がされることとなります。そのため、法人で暗号資産を保有している場合には日本円で受け取るメリットが薄れることとなります。

まとめ

暗号資産のステーキングもしくはレンディング、特に日本円でレンディング報酬を受け取る場合は、多くの個人投資家にとって魅力的なオプションとなります。税金計算の簡素化、低い取得価格のETHの長期保有戦略の維持、そして安定した現金収入の確保など、さまざまなメリットがあります。

特に、ETHを昔から非常に安い価格で購入し保有しており、その価値の上昇を期待しつつ、定期的な収入も得たいと考える投資家にとっては、非常に有効な選択肢となるでしょう。また、暗号資産投資を始めたばかりの方にとっても、複雑な税金計算や市場変動のリスクを最小限に抑えつつ、ステーキングのメリットを享受できる点で魅力的です。

一方で、法人の場合は会計処理や税務上の複雑さから、個人ほどのメリットを享受しづらい面があります。法人としてステーキングに参加する場合は、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に対応を検討する必要があります。

暗号資産市場は常に進化を続けており、ステーキングやレンディング報酬の受取方法に関する選択肢も今後さらに多様化していく可能性があります。投資家の皆さまには、自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、最適な戦略を選択することをおすすめします。

alt_text解説:村上裕一(村上裕一公認会計士事務所 代表)

公認会計士試験合格後、大手監査法人、メーカー経理財務、会計事務所を経て独立開業。暗号資産・NFT・ブロックチェーンゲームを専門とする税理士として活躍。仮想通貨税務研究会に所属しつつ、自らDeFi・NFT投資を行い、投資家の目線に立った税務アドバイスが特徴。SNSでは「魔界の税理士」(魔界=暗号資産投資の深い部分)として情報発信している。

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